ほのかな感動。

おわりの雪

おわりの雪

たまたま図書館の新書コーナーに素敵な装幀の本を発見。よく見てみるとこの絵はクサナギシンペイさんではないかい!わあぁ大好きなのです。絵をしばらく見たいがために中身もろくに確認せず借りてきました。


友人がよく言います。初めっから期待し過ぎるといつもがっかりする。
例えば、気合を入れて美術館に行き大好きな絵を観るよりも、何とはなしに雑誌をめくっているときに見つけた絵の方が感動する、と。
ただ今、まさにそれです。
何の前知識もなく、ふいに良いものに出会う、なんともいえない至福感。


この物語は本当に小さな世界を舞台にしています。
具体的な登場人物や風景、出来事などが描かれてはいるけれど、その輪郭は曖昧で、読了後には抽象的な景色や感情、滲んだ光、等のイメージばかりが思い出されるのです。
ただひとつ確かな質感を持って残っているものは、トビのくちばしの鋭さや羽の美しさですかね。鳥にだけたしかな存在感を感じます。
なんだかわけわからんことを書いてしまいましたが、もしも装幀に惹かれたら読んでみることをお勧めいたします。素敵ですから。