山海塾@琵琶湖ホール

 

『金柑少年 2005』
I. 金柑少年 記憶の裏側へ
II. 闇の手 微細な世界・犠儀
III. 孔雀 この自然の虚飾
IV. 秘薬 伝統不能な調べ…都市の中の点
V. 豆太郎 キシム笑い
VI. 処理場II 限りなく遠のいてゆく捕獲の地
VII. 金属製の飛鳥 海岸の涯て


http://www.sankaijuku.com/
http://www.biwako-hall.or.jp/j/calendar/dance/051001.html

 開演前、一旦完全な真っ暗闇になる。舞台上には鮪の尾尻が打ち付けられた壁(ブーメランにしか見えない)、下手には米が盛られた一角があり、蛍光オレンジで輪が描かれた透明の板が天井から釣り下げられている。


 倒れる少年。大きく開かれた口から無音の叫び。黒い穴。舌は、赤い。無彩のなかにふいに現れる有彩。少々恐ろしかった。なんとなく鴨居玲を思い出したのは、私に山海塾を教えてくれた人が鴨居玲を好きなせいかもしれない。
 後ろ向いてお尻半分出しながら踊る4人の男。腕を前に組んでくねくねとする。トルソみたいでなかなか美しい。
 孔雀。当然ニセモンだろ、と思ってたら生きてた。ずいぶんと貧相な孔雀さんでてっきりキジかと。束縛→解放の瞬間のシルエットは素敵。この後、ずっと舞台上を歩き回る孔雀さんが気になって仕方がなかった。
 エロティシズム。女性的なんだけど…男性だから俗っぽくならない。それよりもなによりも、後方からひょっこり顔を出した豆太郎に衝撃を受けた。ひいぃ。
 豆太郎。赤紫色の着物を着ていたので小さな女の子にみえたけど太郎だから男…か?でも変身後豆太郎はコルセットつけてたぞ…んん?まあいいか。大体4頭身くらいかな。膝で歩いているらしいけどようわからん。縦が短いかわりに横が太い。にかぁ、と笑いながらよちよち歩く。……恐い。これは恐い。岸田劉生の麗子像もびびるくらいの恐ろしさであった…。
 この辺から眠りの妖精スリーピーの仕業により記憶がない。
 最後、釣り下げられた人。青い背景に赤い三角。色彩が強烈。


 人間の肉体はやっぱり面白いわ。うんうん。練習時に鏡は見ないらしいよ。微妙なズレまで計算してやってるわけではないのか。
 音楽は全体的に薄っぺらい印象。